七夕の節句の日に「金華山&出羽三山の旅」が始まった。言い出しっぺの作ちゃんが、「羽黒山&月山に登ってみたい」という居酒屋での「親父の独り言」に端を発して企画された今回の旅であったが、当の本人が先週末に腰痛を再発し結局欠席するという事態となった。
旅程はいつもの通り井戸さん(以下、井戸ちゃんという)のスケジュールに一任である。参加者は7日(土)の午前8時15分に仙台駅付近のトヨタレンタカーに集合することになり、当日の新幹線で駆けつける人、仙台に前泊する人、前夜の夜行バスを利用する人と分かれての集合である。嵩ちゃん、渡辺由紀子さん(由紀ちゃんという)、多嘉山さん(タカちゃんという)、トミちゃんの4人は、新宿副都心の住友ビル内の「そじ坊」で待ち合わせし、前夜祭を行ってから新宿発の夜行バスに乗り込むことになった。同ビル内にあった出発ロビーは、遠各地へ移動する乗客で一杯であった。しかも若い人達で還暦過ぎの親父は嵩ちゃんとトミちゃんぐらいであった。夜行バスは途中二度のトイレ休憩をとって早朝6時20分に仙台駅東口に到着した。早速、駅構内のカフェレストランで朝食を取った後に、待ち合わせのトヨタレンタカーに向かう。
8時20分の定刻に井戸ちゃんと川縁さん(ベリちゃんという)が集まった。到着するなり、ベリちゃんが昨夜泊まったホテルでは、「シャーミ、シャーミという音が聞こえたり、衣文掛けらしき物が飛んできたりして眠れなかった」と訳のわからないことを言い出した。嵩ちゃんが早速、もしかして東北震災での御霊が出たのかも知れないと反応した。これから先の旅への不安がよぎった。 今回の旅仲間は常連組(井戸ちゃん、嵩ちゃん、由紀ちゃん、トミちゃん)に、井戸ちゃんの交友、鉄也さん(鉄ちゃんという)、直人さん(直ちゃんという)、ベリちゃん、多嘉山(タカちゃん)、園子さん(園ちゃん)が加わっての9人である。レンタカーは金華山一泊で帰京する鉄ちゃん、直ちゃん、タカちゃん、園ちゃんの4人組と出羽三山まで足を延ばす5人組に分かれての出発となった。
天候は昨夜から続く雨模様で、鉄ちゃん組みはレンタカー・ショップで金華山に行くと告げると「天気が悪いのでやめた方がいいよ」と言われたとか、余計なお世話とはいえ先行きが気になった。初日の目的地は金華山の黄金神社の参拝と山頂登山をして山神社で遥拝することである。 2台の車は石巻道路を通って鮎川出口で合流し、牡鹿半島の鮎川港(石巻市)に向う。途中セブンイレブンに立ち寄り、今晩の食べ物と飲物を3班に分かれて夫々勝手に購入する。余るのではないかと思った買出しは、翌朝、確認した時には残りも少なく適量であったかと妙な納得をした。鮎川港には午前11時頃に到着した。途中でみた幾つかの小さな漁港は未だ震災後の爪痕が随所に残されていて、震災被害の甚大さと復興の道の大変さを痛感させられた。鮎川港から金華山行きの海上タクシー(モーターボート)を利用することになり、搭乗するまでの間に仮設建物で経営している復興食堂で昼食をとることにした。早速、嵩ちゃんとベリちゃんが生ビール2杯を注文し、海鮮丼やくじら寿司を食べて元気の良さを示していたのだが、嵩ちゃんが海上タクシーのことを空上タクシーと呼ぶ頃からおかしくなってきた。何かに取り付かれたように元気がなくなってきたのである。井戸ちゃんいわく「震災で成仏できない霊が残っていて、嵩さんにとりついたのではないか」と恐ろしいことを言い出した。霊感能力に乏しいトミちゃんには実感できないことである。 しかし、その後の嵩ちゃんはいつもの嵩ちゃんからかけ離れていたのも事実である。昼食後、モーターボートに乗って荒れる海路に揺れながら必死につかまっていると、直ちゃんがまるで波高に併せてダンスをするようにステップを踏んでいるのには驚いた。ウーン、何とすごい運動神経の持ち主かと思ったのだが.... モーターボートに乗ること約25分、午後1時過ぎには、金華山の船着場に到着した。近くの建物の中は荒廃したまま残っていた。金華山は標高445mの山で、島全体が黄金山神社の神域となっていて、恐山、出羽三山と並ぶ「奥州三霊場」に数えられている。「三年続けてお参りすれば一生お金に困ることはない」という言い伝えがあり参拝者が多いとのことだが、震災後は激減しているようだ。また、島そのものが国定公園に指定され、随所で見た鹿は神の使いとして保護されている。私達はこの黄金山神社の宿坊に泊まることになったのだが、井戸ちゃんが今年になって5回目の参拝、供養とあって権禰宜(ごんねぎと呼び、宮司の次に偉い人)の平塚さんから「井戸先生」と呼ばれていた。お陰様で、私達一行は、6名の職員の皆様から暖かく対応していただいた。感謝!感謝!
18時からの夕食までは時間があり交代でシャワーを浴びたり、部屋に集合して飲み食いしながら駄弁っていると、いつの間にかいなくなっていた鉄ちゃんが雨具の姿で部屋に戻ってきた。何でも、雨の中を川上目指して散策に行ってきたのだという。長身の鉄ちゃんは口数も少なくどことなく哲学者もしくは山伏を髣髴させる人だなと勝手に思っていたら、鉄ちゃんが部屋で雨具を片付け始めた時に事件が発生した。何と、なんと、ナント鉄ちゃんのズボンに血がついている。原因はヒルである。血を吸ったヒルがズボンに着いていた。最初一匹と思っていたヒルだったが、隣にいた園子ちゃんが自分の膝元にいる大きなヒルを発見し、強烈な叫び声を発してその場から立ち去った。その素早さたるや、元短距離のランナーと思ったほどである。それにしても「ギャー」という叫び声は、いくら般若心経で「ギャーティ、ギャーティ」の経文を練習していたとはいえ、余りにもタイミングがよく、周りの者達は驚いた。冷静だったのが、井戸ちゃんである。 生物学者の如く、ガラスコップに捕らえられた3匹のヒルを割り箸を使って突っつたり、ひっくり返したりして鋭く観察しているのだ。何でも井の頭公園でみた慷慨ヒルはもっとでかかったとか、やっぱり似ているなとか言いながらケラケラ笑っている。またしても、井戸ちゃんの本性がわからなくなってきた。一時間程お騒がわせしたヒル事件だったが、当の鉄ちゃんが一番慌てずに堂々としていた。しばらくは彼のそばには誰も寄り付けないのも至極当然であると思いきや、直ちゃんは相変わらず傍で「寝たり」「起きたり」を繰り返し、アルコールは飲めないんだと言いながら、盛んに水を飲んでいる。あれだけ飲めばトイレが近いのも不思議ではない。パパイヤ鈴木に似た長髪と芥川賞受賞の田中慎也に似た風貌で、思索っぽいのか、いたずらっぽいのか良くわからない。
さらに、真面目で個性的なのがタカちゃんである。服装から普通のOLではないだろうなと偏見をもって話をしていたら、ディレクターとのことである。トミちゃんは前からボケが深耕しており、ディレクターなるものがよく理解できていなかった。どうしても日曜日に東京に戻って、月曜日のNHKのTV番組で「天童よしみ」の出る歌番組をプロデュースしなければならないと聞いて初めてディレクターが理解できた。彼女は出羽三山に参拝できないのを残念がっていた。お酒を飲んでも表情が余り変わらず、相当強い人と見たのだがその真相は如何に?
斯様に、新しく知り合った仲間も、相当の個性派揃いである。
そうこうしているうちに、楽しい夕食の時間、午後6時になった。美味しい精進料理と地酒等をいただき午後8時にお開きとなったが、部屋に戻って二次会の始まりである。つまみと酒は昼にコンビニで調達したのが沢山ある。宴会の続きをしていたら、権禰宜の平塚さんが部屋に入ってきた。平塚さんは付き合いがよくまた御酒を頗る愛する方で、夜遅くまで続いた懇親会に最後まで付き合ってくれた。偉ぶることなく親しみ易い平塚さんに対して、平ちゃんとため口で話かけたりして深く反省している嵩ちゃんとトミちゃんでした。
午後10時半過ぎに、皆で食べたカップヌードルやカップそばは本当に美味しかった。冷静なのは鉄ちゃんだ。夜中の食事は体に良くないとかで食べなかったのだ。流石、山伏、鉄ちゃん!! その後、後片付けして午後11時に就寝。
昨日との天候とは打って変わっての晴天である。勤行に参加するようにと、権禰宜の平塚さんが朝5時45分に部屋に迎えに来てくれた。皆で本殿に入って勤行に加わった。昨日から唱和している大祓詞や般若心経を唱えるが意味はわからない。少しずつ覚えていくしかないのであろう。人口音が一切遮断された講堂は、まさしく自然そのものであり、その中で魂が癒されてくる。トミちゃんは毎度のことながら正座ができない自分が恥ずかしい。皆修行して正座を長続きできるのが羨ましい。勤行が終わり、朝食をいただいた後で、昨日実行できなかった金華山、山頂への登山となった。午前9時30分に宿坊を出発する。
昨日のヒル事件があったので、皆さんの姿は靴とズボンは隙間がないようにテープで密封し、上半身はヒルが入らないように首にタオルを巻いて厚着スタイルをして山登りが始まった。最初の5分間は、隊列に乱れは無かったが、段々と川に沿って上流を目指しているうちに道が険しくなり、次第に道なき道を歩き始めると隊列が乱れてきた。厚着の園ちゃんと直ちゃんが遅れだした。特に園ちゃんの様子がおかしい、どうも軽度の熱中症にかかったようである。そこで颯爽と登場したのが嵩ちゃんである。一生懸命、仰いだり、上着の風通しをよくするように指導したりして二人をフォローしている。嵩ちゃんは、邪心がなく、実に心優しい人なのだ。(いつも、いい役をとるという風評もありや?) 一行は、鉄ちゃんと井戸ちゃんが先頭で歩き、ベリちゃん、トミちゃん、タカちゃん、由紀ちゃんが続く。特に、鉄ちゃんは山伏並みの体力を有し、平然として頂上を目指していたが、その姿はき生きとしていている。自然との共生があっているのだろう。やっとの思いで到着した山頂は、金華山の最高峰ではなかったが、眼下には対岸の牡鹿半島と金華山との内海(瀬戸)や太平洋が一望できて大変良かった。自然の新鮮な空気がうまかった。
帰りは山道に少し慣れたこともあって、みんなで隊列を組んで「懺悔、懺悔、六根清浄」、「お山はきれい」を連呼しながら下山した。晴天と重装備の効果で、ヒルの被害はほとんどなかった。
宿坊に戻ると、モーターボートの出発時間、午前11時が迫っているとのことで急いでトラックの荷台に7人が乗って船発着場までいく。昔ならではの斯様に貴重な体験は金華山でしかできないのであろう。
帰りのモーターボートは、晴天で波が穏やかとあって、キャビンではなくデッキに出て眺望を楽しんでいた人の方が多かった。忘れられない金華山での一日であった。鮎川港に戻って、日曜日に東京に戻る4人組とは別れることになった。山登りで苦労した園ちゃんと直ちゃんの二人は、この旅をどう思っているのだろうかと気になった。 さて、私達5人組は、石巻市内の和風レストラン「まるまつ」で昼食を取ってから一路、200Km離れた出羽三山に向かう。東北自動車道から山形自動車道路へと高速道路をつないで移動し、運転は井戸ちゃんとベリちゃんの二人にお願いする。嵩ちゃん、由紀ちゃん、トミちゃんの三人は後部座席で楽させてもらった。眠気覚ましに東北に纏わる唄を合唱するが、途中で歌詞が分からなくなる中で、井戸ちゃんの記憶力の良さには感心する。やはり、いろいろな知識を骨に刻んで覚えているとの話があったが本当である。
走行しているうちに、午後4時過ぎに湯殿山神社の入り口に到着した。受付の担当者が、閉門の4時を過ぎていたけど通過させてくれたのは、神様が導いてくれたのではないだろうかと強く感じた。湯殿山神社については昔からの言い伝えがあって、湯殿山神社のことは語るなということで、芭蕉の句として次のように読まれていた。
芭蕉の句「語られぬ湯殿にぬらす袂かな」 湯殿山神社の参拝後、再び山形自動車道の高速道路に戻って、更に一般道に出るとかの有名な藤澤周平の小説舞台である庄内平野が広がっていた。横目に見ながら走り抜け、鶴岡市内にある宿泊先「大聖坊」に18時頃に到着する。「大聖坊」は宿坊で出羽三山に参拝する人達や修験者達が利用するところで、一般の民宿とは趣が全然違っていた。旅館主の星野さんは、最初変わった人だなと思ったが、話を聞いているうちに「山伏」が本業らしく、修験者の道では第一人者の高位の人物であるらしい。井戸ちゃんの知合いの深さをここでも知った。 夕食は地元で取れた山菜をベースにした精進料理が振舞われた。びっくりしたのは一升酒を大杯に注いでの回し飲みである。修験者達の修行が終了した時に飲む酒とのことだが、修行もしていない私達に飲ませてくれたのだ。同じ酒でもお猪口で飲むのと全然違って、口当たりが良く飲み易いのである。ものの10分で5人でといっても実質3人で回し呑みをした。その時事件が起こった。トミちゃんが酔いつぶれたのはいつものことで余り驚いていなかったが、あの毎日浴びるように飲んでいる嵩ちゃんの様子がおかしいのである。食事は取らない、酒は飲まなくなり正気がなくなっているのである。どうも普段のペースよりも早く一気に飲んだのが原因かと思ったが、井戸ちゃん曰く、体が明らかに冷たくなっていて、未だ霊を引きずっているからだという。
食事を終えてから、近くの温泉に皆で行くことになった。酔いつぶれている嵩ちゃん、トミちゃんをやっとの思いで連れ出して、星野さんの運転でやまぶし温泉「ゆぽか」に到着する。男湯には星野さん、ベリちゃん、嵩ちゃん、トミちゃんが入る。嵩ちゃんは湯船に入ろうとせず、脱衣所で吐いてしまいベリちゃんが面倒をみていたとのことで彼も風呂に入れなかったようである。
今まで、何度も旅をしているが斯様な状態の嵩ちゃんに出くわしたのは初めてだ。確かに嵩ちゃんに何か異変が起きている。帰りの車で、嵩ちゃんの眼をみた星野さんがこういった。「未だ大丈夫だ」とそれは山伏の修験者の声だった。
宿坊についてからは、記憶がないままに床に就いていた。何でも、由紀ちゃんが嵩ちゃんを介抱して寝かせてあげたと聞いている。嵩ちゃんは幸せ者である。これでまた、由紀ちゃんに頭が上がらない日が続く。 午前3時頃であろうか、嵩ちゃんが外のトイレから戻って床に就くと、我らの大部屋(約50畳の広さ)に白い着物を纏った女性が突然現われた。遂に幽霊が出たかと思ったが、女性の細く低い声が聞こえてくる。さり気なく見ると、井戸ちゃんが嵩ちゃんの容態を心配して治しに来てくれたのだ。低温の体に気を当てて暖めることものの10分程度で治療は終わった。その効果があってか、嵩ちゃんが元気を取り戻してきた。止せばいいのに、性懲りもなく、その後、嵩ちゃんとトミちゃんは雑談を続け、時は午前4時半を回っていた。隣で寝ていたベリちゃんには睡眠の邪魔をして申し訳ないことをした。(後日談:ぐっすり寝ていたとのこと)
今日も天気は晴れ模様。
午前5時30分起床する。6時から星野さんの勤行が始まるので、それに参加するのだ。寝不足も重なって、また昨日の体調の悪さが続いているのか、嵩ちゃんは顔色もさえず元気がない。トミちゃんはもう回復している。要するに酔うのも早いが覚めるのも早い質なのである。
勤行は大部屋の神殿の前で行われ、大払詞の後、摩珂般若波羅密多心経を7回繰り返して唱え、最後に法螺貝を吹いて終わった。この間に、嵩ちゃんの回復と旅の無事安全を祈願した。皆の思いも同じであろう。嵩ちゃんは朝食もとらず、まだ昨日の不調を引きずっている。今日は羽黒山の頂上まで2446段あるという石段を登り詰めるのだ。厳しい修行の道でもあるだけに嵩ちゃんの体調が気になる。星野さんに参道の入り口まで車で案内していただき、出発前に元気付けの法螺貝を吹いていただき石段登りが始まった。
途中、平将門が建立した五重塔を見て、急坂の一の坂、二の坂、三の坂を一歩ずつ登り詰めた。嵩ちゃんの足取りが重く、元気がない。後日談であるが、由紀ちゃんは嵩ちゃんの姿をみてこのまま死ぬのではないかと思うほどの抜け殻の状態に見えたという。途中幾度か休憩してやっと頂上にたどり着こうとした時である。頂上の境内で待っていた星野さんに向かって、あの元気のなかった嵩ちゃんが突然先頭に立って歩き出し、星野さんに最初に挨拶に行ったのである。皆、仰天するやら、元気になったと喜んだのだが、未だ回復には至っていないようであった。その証拠にその後になってもアルコールを飲もうとしないのである。この羽黒山の出羽神社では、またもや、権禰宜の吉田?さんが、井戸ちゃんと同窓生(大先輩)とのことで大歓迎された。
本堂での厄除け祈願は、厳粛で且つ立派なものであった。この時点でも、嵩ちゃんには霊がまつわり付いているようで、最後にお神酒をいただいた時には肩にのしかかった霊を払っていたとのことである。私には全然感じられなかったのだ。鈍感なトミちゃんである。
吉田様と星野様のご厚意で、博物館を無料で見せていただき、説明までしていただいた。参拝が終わってから再び宿坊に戻って星野様の家族ともお別れした。星野様の奥様から紹介された「鶴岡の岩がき」を食べに昼食の場所、庄内観光物産館に向かう。途中、昨夜、皆で行った温泉「ゆぽか」があり、ベリちゃんと嵩ちゃんが入浴していないこともあって立ち寄った。露天風呂が広くて、自然に囲まれたいい湯である。
昼食は市場で買った「岩がき」を食べやすいように料理してもらって、隣の食堂に持ち込んだが、店員さんはおおらかで持ち込みを了解してくれた。嬉しい!! 特選海鮮ちらしを注文し岩がきと一緒に食べたが、最高に美味かった。嵩ちゃんは注文せず、井戸ちゃん、由紀ちゃんからのお裾分けで済ましていた。未だ、食欲が出てこないようだ。このまま霊を引きづったらどうしよう。あの「なんくるないさ」の嵩ちゃんはどこかへ行ってしまったのかと心配するご一行様でした。 豪華な昼食後、車は一路仙台を目指して突っ走る。やってきた道を引き返すのだが、逆方向で走ると景色が違ってみえてくる。車内では再び歌の合唱である。懲りない面々だ。
予定より早い、午後6時前に仙台駅に到着した。仙台駅の広告塔「仙台銘菓、萩の月」をみて、井戸ちゃんが「禿の月ってどんなお菓子」と毒ついた。眼はトミちゃんの頭を捉えていたと由紀ちゃんが言った。トミちゃんはこの会話を冷静に受止めて、「萩の月」は美味しいおかしだ繋がらない会話に困惑していた。アー、やっと着いたぜ!!出発点のトヨタレンタカー店で3日間お世話になった愛車を返却する。後は帰りの新幹線に乗るだけである。トミちゃんは仙台銘菓「萩の月」をさり気なく勝って、午後6時41分仙台発の新幹線「やまびこ」に乗る。井戸ちゃんとベリちゃんは8時台の指定切符を持っておりで変更が効かないとのことで仙台駅に残った。旅の間、長時間の運転を担当していただき有難う。新幹線は夜行バスと違ってとにかく早い。車中でも嵩ちゃんはアルコールを飲もうとしない。未だ、おかしい。由紀ちゃん、嵩ちゃん、トミちゃんを乗せた新幹線は午後8時24分に東京駅に到着した。ここに、波乱万丈の金華山&出羽三山の2泊3日の旅は終わりを告げた。
* 後日談:心配された嵩ちゃんは、その後体力は回復したものの、傷ついたプライドの回復がままならず、全快にはもう少し時間を要するとのことです。因みに、アルコールの復活は早く、ほとんど毎日に飲んでいる生活に戻っているとのことです。いつになったら、嵩ちゃんの御霊からの解放と傷ついたプライドが元にもどるのでしょうか?とても、とても心配な「金華山&出羽三山の旅ご一行様」でございます。
参加者の名前:
井戸ちゃん:井戸 理恵子
嵩ちゃん :嵩 茂
タカちゃん:多嘉山 郁美
由紀ちゃん:渡辺 由紀子
ベリちゃん:川縁
鉄ちゃん : 鉄也
園ちゃん : 園子
直ちゃん : 直人
トミちゃん:鈴木 富雄